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山形ビエンナーレ2024「現代山形考 - 山はうたう」に出品します。

チラシ兼ポスター



後藤の作品は、「山はうたう」単体でのチラシ兼ポスターのメインイメージとして使用されています。こちらは本展のために制作した新作です。

日本では江戸後期から明治にかけて大流行したといわれる南画を油彩画で描こうとするもので(実際は13世紀ころの中国山水画を参考に制作しています。これも当時の日本の山水画がほとんど中国の模倣だったという経緯を踏まえて、まあいいのではないかと思ってます)、蔵王についての歴史や現在や伝承や伝説や虚構も含めてふんだんに盛り込んで描きました。


「山はうたう - 狼石より蔵王を望む」2024 oil on canvas 2273×1818mm


以下、作品コメントです


大学で「洋画」なるものを学んだ僕にとって、アートの関心はもっぱら西洋美術や現代美術に向けられていたので、「南画」はジジくさい骨董趣味くらいに思っていて興味がなかったのだが、仕事を通じて菅原白龍という南画家を知ったことを機に関心の度合いが高まり、調べていくとこれがなかなか面白い。中国への憧憬に端を発しながら日本独自の進化を遂げ、江戸時代末期に最盛期を迎えたが、明治維新後の欧化政策のあおりを受けて衰退したとのことで、西洋化以前の日本の精神性を体現していると感じた。狩野派や琳派の緊張感あふれる画風に対して、なんともリラックスした境地。西洋かぶれする以前の庶民はこういう心境でのんびり豊かに過ごしていたのかもしれない。また、作品を床の間に掛けて詩作に興じる文化もあったそうだ。なるほどこれは「山はうたう」ならぬ「山をうたう」たしなみと言える。こういうわけで、元来僕が制作のテーマとしている「西洋と東洋の狭間で引き裂かれる日本人」にも合致するものとして「油彩で南画風に蔵王を描く」というアイデアが生まれた。完成したものが「南画」と言えるかはともかく、僕なりに現代の山水画を試みたものである。


私は以前より、書道を用いた作品や、蘭亭序の油彩模写などの作品を試みてきました。それらは日本が東洋と西洋に引き裂かれた、あるいは同居した文化的土壌を土台にしていることに端を発するもので、現代美術はさることながら道徳観や倫理観もなんちゃって西洋人、格好だけ、表面だけ模倣している状況を批判的に表現する一環であり、また軽薄なマーケット至上主義や、ポストコロニアリズム以降も依然としてゆるぎない白人至上主義のアートシーンに対するアンチテーゼでもありました。本作においては南画の理念やスタイルを借りることで、上記の主題をより拡張・強化しながら、現代美術のトレンドとは異なる方向に展開できたのではないかと考えています。


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会期:2024年9月1日(日)〜16日(月・祝)10:00-17:00

会場:東北芸術工科大学 本館7階 THE TOP

参加無料(申込不要)


以上、よろしくお願いいたします。


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