「モール革命」展(2016年、MOLE GALLERY@ミサワクラス)での展示風景
本作は、これまで「先端藝術掲示板」とか、「末端絵画掲示板」とかいうようなタイトルで、「掲示板」というフォーマットにより発表してきたシリーズで、そのアップデート版ということになる。
「掲示板」とわざわざ言っていたのはいくつか理由がある。一つは「情報」によって風景の印象が変容すること。もう一つは展覧会において「入れ子構造」を創出し、展覧会という規則というか、権力のようなものから逸脱した、独自の個展のような体裁をとるための仕掛けとして。それは地方<東京、日本<西洋というような美術界ヒエラルキー構造から脱却し、東北の田舎でも芸術の先端なのだと主張するというような卑屈かつ自虐的な、しかし真剣な表現だった。
しかし今になると後者の主張はただ強がりの子供の主張だなあと感じられたので、前者の「情報」という主題に重きを置くことにした。まさにグーグル画像検索のような格好で、一見脈絡のないイメージが隣り合って矩形を形作っている。この状態を「画面」と呼ぶことで、展示状態は先の「掲示板」ではなく「ディスプレイモニター」であることになり、一つの「絵画面」を形成しているととらえることもできる。「画面」というシンプルな名づけにより、「情報」と「風景」とを結びつけ、より強固な作品となったように思う。
なお、「掲示板」に使用していた「雪囲い」風のしつらえは、それはそれで取り分けて考えることにした。とにかく、太郎賞出品の作品は肩に力入りすぎで詰め込みすぎて空回りしまくりということが、4年もたつとよく見えるものなのだ。(2021年12月3日)