添削
平凡な高校生が書いた「後藤」の書を、書道の先生に添削してもらった。その際に先生と生徒の使用材料を逆転させ、生徒には朱墨で、先生には黒の墨汁で書いてもらった。
テロ報道で目に焼き付いてしまった黒とオレンジ色のイメージを、そのまま書道に転用した。
報じられた犠牲者の中には、私と同じ苗字を持つ日本人ジャーナリストがいた。
Correction
I asked a calligraphy teacher to correct "Goto" calligraphy written by ordinary high school students.
The materials used by the teacher and students were reversed, and the student write in red ink and the teacher in black ink.
In this work, I used the black and orange images that were strongly remembered from the daily terrorist reports.
Among the Japanese victims reported on the terrorist broadcast, there was a Japanese journalist with the same name as me.
蘭亭序(模写)
蘭亭序(らんていじょ)は、中国東晋時代の書家・王羲之による、永和9年(353年)に開催された曲水の宴において、酒に酔いながら書かれた詩集序文の草稿である。王羲之の最高傑作と言われ、歴代の所収者による多くの落款が、この作品の歴史的価値を示している。
本出品作は、蘭亭序を一枚の風景画として捉え、油彩による模写を試みたものである(複製の一つである神龍半印本を模写した)。
明治期以降の日本は西洋を手本として近代化を遂げてきた。しかし現代では、中国の台頭に代表される世界情勢の変遷により、西洋と非西洋の力関係にも変化が訪れている。
そこで、かつて印象派の画家達が、日本の浮世絵を油絵具を用いて模写したことに習い、洋画を学び西洋化した現代日本人の身体によって、日本の歴史を記述し続ける中国由来の漢字文化を捉え直してみることにした。そうして西洋と東洋に引き裂かれる2020年当時の日本人の姿を描き出し、ここにとどめておきたいと考えた。
以下は、蘭亭序終盤の内容である。
後之視今 亦由今之視昔 悲夫
故列叙時人 録其所述
雖世殊事異 所以興懐
其致一也 後之攬者
亦将有感於斯文
意訳:後世の人が今の我々を見るのも、今の我々が昔を見るのと同じようだとは、悲しい。ゆえに、ここに集まった人々の名を列記し、述べたところを記録しておこう。世の中が変わっても、思いを興す理由は同じだろうから。後世の人も、またこの文に感じ入るだろう。